【トレーニング】1500mで3分台を出す・4分を切る方法を考えてみる
1500m3分59秒99と4分00秒00。
個人的には、800mの2分切り、1500mの4分切りと同じくらい大きなインパクトがあります。
実際に、高校生であれば1500mで3分台を出せば、県大会から先のステージが見えてくるレベルだと思います。3分台を出すことで自信がつき、800m・5000mなど他の種目でもジャンプアップできるきっかけにもなるでしょう。
僕の自己ベストは4分08秒(非公式)なので、自分のためにも1500mで3分台を出す方法を考えてみたいと思います。
1500mはスピードと持久力のバランスが大事
1500mのタイムを縮めるためにはスピード養成と持久力養成、両方をバランス良くトレーニングする必要があります。スピードと持久力のバランスは個人差があるので、自分に合った練習を選択する意識を持つことが大切です。
圧倒的に持久力の方が優位
1500mは競技時間が4分~5分ほど(ここでは3分台を狙う方なので)と有酸素優位の種目です。そのため、スピードと持久力の2択であれば、持久力を優先して鍛える必要があります。
ラストスパートをかけるためにも、持久力は必要になるためスピードに自信がある方でも持久力養成のトレーニングは行いましょう。
少なくとも1500mで4分前後で走る場合は、持久力を重点的に鍛える方が突破できる可能性は高いです。
現在スピード練習を中心に行っている方は、ジョグの距離を伸ばしたりなど有酸素系のトレーニングを意識するのがおすすめです。
※有酸素系を高めたい場合は、この本を読むのがおすすめです。
ランナーのタイプ別の練習コンセプト
1500mのランナーの場合、800m型のスピードランナーか5000m型の長距離ランナーに分けられます。それぞれのタイプに応じて練習のコンセプトは変わってくるので、自分に合った練習内容を押さえておくのがおすすめです。
5000m型のランナーであればスピード練習のペースを上げる
5000m型のランナーであれば、通常の練習(ロングラン・テンポ走・1000mのインターバル)はそのままで、ショートインターバルのペースを上げます。
むしろ、テンポ走や1000m以上のインターバルのペースを上げると、強度が高くなり過ぎてしまい怪我のリスクが高くなるので、距離や本数を増やすようにしましょう。
これは、持久力を高めるためにはペースを上げるよりも刺激時間を多くする方が効果があるからです。
例えば、1000mのインターバルの場合は3分00秒~3分05秒ほどで、3本→5本→6本、、、という具合で行っていきます。
そして、スピード練習、400m×10~15本などのトレーニングを行うときは、タイムを72秒→70秒→68秒→66秒、、、といった具合に上げていきます。
設定タイムが遅いときは、200mを32秒のペースで楽に走る練習をしておくと、スピードとペース感覚を養いやすいです。
そもそも200m32秒が速く感じる場合は、さらに短い距離のトレーニング(短距離的なトレーニング)を行いましょう。
800m型のランナーであれば、ロングジョグを取り入れる
800mの練習をしている場合は、そのままスピード系のトレーニングを行いロングジョグを取り入れていきます。今まで持久系のトレーニングを行っていなかった場合は、長いジョグでもきつく感じると思うので、40分ジョグ→60分ジョグなどと少しずつランニングの時間を長くしていきます。
ダニエルズのランニングフォーミュラでは週1回ほどのペースで16kmのロングランが入ります。
800mでも有酸素能力が重視されるため、有酸素系のトレーニングを行うことで800mのパフォーマンスも改善される可能性も高いです。
筋持久力を身に付けるトレーニングをする
400m64秒というペースは、3分台を狙う選手にとって速いと感じなくてもすぐにきつくなるペースと感じる方が多いのではないでしょうか。
実際に、800m2分08秒と聞くとそこまで速い印象をあまり感じず、1000m2分40秒だと少し速く感じてくるでしょう。
このように、1500mで3分台を出すときは速いペースを維持できる持久力が必要です。
具体的な練習は、閾値ペースのクルーズインターバルで1600mを3本~5本走ります。(Rest:1分)
最初はかなりきついと思うので3本など本数を少なくするか、Restを2分~3分ほどで様子を見るのがおすすめです。
慣れてきたらペースを上げずに本数を増やしていくと良いでしょう。
有酸素能力を高めるトレーニングは必須
1500mを走る上では、有酸素能力を高めるトレーニングは必須です。また重要なことは有酸素能力を重点的に鍛える時期を設け、有酸素能力が高まった後に無酸素系のトレーニングを鍛えることです。
少なくとも6週間~10週間ほどは有酸素能力を鍛える期間を設けます。
毛細血管とミトコンドリアの量が増える
長距離のランニングを行っていると、持久系の筋肉(遅筋)だけでなく心肺系の能力が向上します。これは、有酸素運動を行うことで体がより多くの酸素を全身に供給しようとするため、体内の毛細血管が増えます。
毛細血管が増えることで全身の血液(酸素)の供給量が増すため、持久力が高まります。また、体で酸素を使っているのは細胞内に存在しているミトコンドリアです。
ミトコンドリアは主に糖質と酸素から、エネルギーを取り出す器官であり、独自DNAを持ち分裂して増えます。つまり、ミトコンドリアが増えることでエネルギーを多く摂り出せるようになります。
このように毛細血管とミトコンドリアが増えることで、1呼吸当たりの酸素を有効活用できるようになり、運動を継続しやすくなるのです。
有酸素運動を継続して行っていると、体は運動を続けられる体に変化しようとして有酸素能力が鍛えられるのです。
有酸素運動の目安は、ざっくりとしていますが「息切れしない程度」です。
この息切れしない程度のペースで、2時間~2時間半ほどのランニングを行うと効率良く心肺機能が高められます。
無酸素系トレーニングは有酸素能力の機能を高める
簡単に言うと、息が切れるほどのペースのトレーニングは酸素の供給が追い付いていないため、無酸素運動になります。
この無酸素運動は無酸素能力が高くなりますが、強度が高いためスピード系の筋肉(速筋)を鍛える役割がありますが、それ以外にも有酸素能力の機能を高める効果があります。
無酸素トレーニングを行うことで、細胞中のミトコンドリアの機能が高まり、より速いスピードでも効率良くエネルギーを生み出せるようになります。
この無酸素トレーニングではミトコンドリアの数自体は増えないため、有酸素運動でミトコンドリアの数を増やしてから、無酸素運動でミトコンドリアの機能を高めた方が効果を得やすいのです。
無酸素系のトレーニングの頻度は週2回ほどに抑えることも大切です。回数が多くなり過ぎると、体の負担が大きくなり故障を招くだけでなく内臓系にもダメージがあり、モチベーションの低下(無気力)に繋がる可能性もあります。
詳しくはこちらの書籍が参考になります。(再)
トレーニングペース
こちらはダニエルズのランニングフォーミュラのVDOTを元に1500m4分00秒00のタイムで計算したトレーニングペースです。
こちらは1500m4分00秒00のペースの方のトレーニングペースなので、3分台を狙う方はこれよりも遅いペースになります。
1500mと同等のパフォーマンス
こちらは1500mを4分00秒00と同等のパフォーマンスを示したものです。5000mであれば14分53秒で1500mに特化した練習をすれば、4分00秒00を出せる可能性が高いことを表します。
3000mや5000mのレースを狙っている方は参考にしてみてください。
具体的な練習メニュー案
【レース準備期】
①800m×6(Rest:400jog)
2分22秒~2分24秒
②1000m×5(Rest:3分jog)
2分58秒~3分05秒
③600m×5+200m×4(Rest:次の距離jog)
98秒~102秒、32秒~33秒
④600m×2+400m×3+300m×4(Rest:次の距離jog)
98秒~102秒、65秒~66秒、49秒~50秒
【レース期】
①800m×4(Rest:800jog)
2分10秒~2分12秒
②600m×2+400m×2+600m×2(Rest:次の距離jog)
98秒~102秒、65秒~66秒
③200m×8(Rest:200jog)
32秒~33秒
④1000m×2+400×4(Rest:次の距離jog)
2分58秒~3分05秒、65秒~66秒
詳しくはこちら
スピード練習は競技場で行う
1500mの練習をするときは、本番と同じ環境でトレーニングするのがおすすめです。競技場でスパイクを履いてトレーニングすると、シューズよりも負荷が大きくなり練習効果は大きくなります。(故障のリスクが高まるので強度のバランスは考えましょう。)
特に短い距離のスピードを意識したインターバルを行う場合は、スパイクで行った方がレース本番の感覚も養いやすいです。
実際に、本番のレースで脚(筋肉)が痛くなって動かなくなることがあります。これはスパイクの負荷に脚が耐えられていないので、できるだけ短い距離のスピード練習をするときは競技場でスパイクを履くことがおすすめです。
おすすめのスパイク
●アディゼロアンビション
2021年の東京オリンピックでアディダス契約の中距離選手が履いていたスパイクです。
以前までは同名の長距離用シューズがありましたが、東京オリンピックを機に大幅なモデルチェンジ。
新アバンチのようにカーボンプレート(エナジーロッド)は内蔵されていないものの、前足部に「Lightstrike Pro」を搭載し、反発力とクッション性が向上しています。
ヒールが高い設計になっているため、接地時間を短縮してスピードを出しやすい作りです。
実際に、東京オリンピックでは女子の400m金メダリストがこのシューズを履いていました。
現在のアディダスのラインナップを見ると、中距離ならアンビション、長距離ならアバンチと完全に住み分けています。
●アディゼロMD(アディダス)
800m世界記録を出したルディシャ選手が履いているシューズ。400m~1500mに対応したスパイクで、柔らかいブーストフォームが前足部とヒールに使われているので衝撃を和らげ反発力を高めています。
ヒールが高い設計になっているので、スピードを出しやすいのも特徴。ただし、1500mを走るにしては負担が大き過ぎる可能性があります。
●コスモレーサーMD(アシックス)
アシックスの中距離専用スパイク。プレートが硬く反発力が大きいため400m~1500mまで対応。
※プレートがフルレングス(前足部からヒールまで)なので、負荷は大きめ。
フィット感が高いアッパーを使っているので、軽快に走れるようになっています。
800m型ランナーにおすすめ。
●ズームヴィクトリー(ナイキ)
世界的に中距離ランナーの多くが愛用しているスパイク。800m~5000mまでに対応しており、ファラーなどトップ選手は10000mでも履いています。
このシリーズには「ヴィクトリーエリート」があり見た目は一緒ですが、プレートがかなり硬くなっているので、800m2分切りや1500mで3分台を狙うなら通常モデルがおすすめ。
●アディゼロ アバンチ(アディダス)
同じくアディダスのスパイク「アディゼロ アバンチ」。2017年・2019年の世界陸上5000mで2連覇したエチオピアのエドリス選手が履いているスパイクです。
ソール全面にクッション・反発力が高いブーストフォームが使われており、脚の負担を抑えられるので速いスピードを維持しやすいです。アディゼロMDだと負担が大きい方や、5000mにも出る方におすすめです。
ドラゴンフライ以前は、多くのナイキユーザーが使っていた長距離スパイク。履き心地はスパイクというよりかはシューズに近い感覚で、とにかく軽い(25.5cmで99g)。
ドラゴンフライが手に入りにくい状況なので、それまではマトゥンボで頑張るのもアリだと思います。ヴィクトリーよりもスピードは出ませんが、最後までしっかりと脚が残ります。
最後に
1500mはヨーロッパを中心に世界的に人気がある種目です。日本国内でも体力テストにある種目でもあるため、人気があるでしょう。
しかし、1500mはスピードと持久力のバランスが重要なのでトレーニングが難しい種目でもあります。有酸素運動を継続して行い、持久力をつけてから無酸素系のトレーニングを行うのが基本的な流れです。
今回は紹介していませんが、腹筋などの体幹を鍛えることでさらに競技力を高められるでしょう。
僕も1500mでベストパフォーマンスを出せるように頑張っていきます。