市民ランナーが5000m13分台で走れるのか試してみた。

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【シューズ】ランニングシューズの特性と使い分けについて

ランニングはランニングできる服装とシューズがあれば、気軽に楽しめるスポーツだと思います。装備品が他のスポーツよりも少ないこともあり、とりわけランニングシューズの存在感・重要度は高いといわざるを得ません。

実際に、最近では厚底シューズなどのスーパーシューズ・スーパースパイクが注目されており、特定のシューズに関しては入手が困難になっています。

また、「良いランニングシューズを履けば良いランニングができる」というものではなく「適したランニングシューズを履けば良いランニングができる」というのが個人の見解です。

というのも、ランニングシューズの種類は多く、それぞれコンセプトが違い適切なシーンに合わせて使うのが大事だと思うからです。

そこで今回は、ランニングシューズの種類やそれぞれの特性について紹介したいと思います。

ランニングシューズの役割

ランニングシューズの最大の目的は、快適にランニングできることです。一般的なシューズよりも軽いのでかなり走りやすいでしょう。しかし、重要なのはもう1つの役割である「足・脚を守る」ことです

ランニングシューズは累計で数百キロと走ることを前提に作られているため、足・脚を守るために、衝撃を緩和するクッション性が高いです。クッション性が低いシューズで走ると、地面から伝わる衝撃により体がダメージを受け、足首・膝・腰などを痛めやすくなります。

また、このクッション性はシューズによって異なるため、目的に応じたシューズを選ぶことが重要になってくるのです。

これからランニングを始める方の場合、既に持っているスニーカーよりも新しいランニングシューズを購入した方が良いです。脚が痛くなりにくく、快適に走れるのでモチベーションを維持しやすいからです。

ただ、ランニングシューズは1万円以上するものがほとんどなので躊躇する方は多いでしょう。そのため、最初はコスパが非常に高い、高すぎるワークマンのハイバウンスがおすすめです。値段は1,900円です。安い!

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ランニングシューズの種類

ランニングシューズの目的は大きく分けて以下の3つです。

・アップシューズ

・テンポアップシューズ

・レーシングシューズ

シューズの役割は変わってきますが、この役割はランナーの走力(レベル)によっても変わってきます。走力に関しては、普段利用することが多いステップスポーツさんの基準を参考にしたいと思います。

・初心者:マラソン5時間~

(1km:6分~)

・中級者:マラソン4時間前後

(1km:4分~5分)

・上級者:マラソン3時間前後

(1km:3分~)

アップシューズ・セーフティシューズ

アップシューズとは、名前の通りウォーミングアップのときに使うシューズのことです。クッション性が高く足を守る機能が高いため、セーフティシューズとも呼ばれます。普段のジョグなどで使う機会が多いでしょう。

また、アッパーなどもしっかりと作られているため、丈夫で耐久性があり長持ちします。ただし、その分シューズは重くなっているのでスピードを出しにくいのがデメリットです。だいたい250g~300gくらいの重さのシューズが多いでしょう。

一般的にアップシューズは初心者向けのシューズという認識が強く、ジョグ以外にもレースで使用しても問題ありません。中級者・上級者もアップやジョグのときはアップシューズを履くことがほとんどです。

テンポアップシューズ

テンポアップシューズは、アップシューズとレーシングシューズの中間に位置するシューズです。大きな括りではテンポアップシューズはレーシングシューズに分類され、初心者・中級者であればレースで使われることも多いです。

テンポアップシューズの重さは200g~250gほどであり、アッパーが薄くなったり、ミッドソールに高性能な素材が使用されたりします。

軽量でスピードを出しやすくなっており、耐久性のバランスが良いためテンポ走やインターバルなどのポイント練習で活躍するでしょう。

アディゼロジャパンはテンポアップシューズ?

アディダスの人気シューズであるアディゼロジャパンは、優秀なテンポアップシューズとして位置づけられていました。しかし、アディオスプロが登場するまでは、マラソンのレーシングシューズとして使われることが多く、ハイレ・ゲブレセラシェ選手やウィルソン・キプサング選手、デニス・キメット選手などがアディゼロジャパン(アディオス)を履いて世界記録を更新しました。

当時、日本ではマラソンでも薄底レーシングシューズを履いていましたが、世界的にはある程度クッション性があるテンポアップシューズの方がマラソンに適している、という見方が多かったように思います。

レーシングシューズ

レーシングシューズは名前の通り、レースで本領発揮するためのシューズです。無駄なものを削ぎ落しているため、かなり軽量になっていますが、耐久性は低くなっています。

また、近年では厚底レーシングシューズが主流でしたが、今でも薄底のレーシングシューズを履けるので、それぞれの特性を押さえておくのがおすすめです。

※正直、どこまでが薄底でどこからが厚底なのか、定義が決まっていないため判別は難しいでしょう。ここでは、トラックで使えるミッドソール25mm以内のシューズを薄底として考えます。

薄底レーシングシューズ

薄底レーシングシューズはとにかく軽量で100g~150gほどのモデルが多いです。さらに、薄底にすることで力を地面に伝えやすくなり推進力が生まれやすいため、スピードも出しやすいです。

近年では、薄底でもカーボンプレートを搭載したモデルも出ており、よりスピードを出しやすくなっているでしょう。しかし、薄底にすることでクッション性は低くなっており、体が受けるダメージも大きいのがデメリットです。

厚底レーシングシューズ

反発力が高く軽量なスーパー素材を使うことで、厚底にしても200g前後に抑えています。

多くのモデルがカーボンプレートを搭載しており、推進力を生みやすいためスピードを出しやすく体重移動を効率的に行えるのでスピードを維持しやすいのもメリットです。また、厚底にすることで接地時に受けるダメージも軽減できます。

このおかげで、エネルギーリターン率が高くなり、マラソンなどの長距離レースではパフォーマンスを発揮しやすく、新記録が連発していると考えられています。

一般的なレベル別のシューズの使い分け

一般的に、走力が高くなるにつれて、ランニングのスピードが速くなるにつれて、軽量なシューズへステップアップしていきます。ただし、レーシングシューズの性能を引き出すためには一定以上の走力が求められるため、レベルに合わせてシューズをランクアップするのが一般的です。

例えば、初心者がサブ2.5向けのレーシングシューズを履いても、パフォーマンスを発揮できないことが多いです。また、体にかかる負担も大きくなるため、怪我するリスクも高くなります。

以下の図の通り、レベルが上がるほどランニングのペースに適したシューズは多くなるため、シューズの使い分けがより重要になります。

シューズの使い分け

薄底レーシングシューズのメリット・デメリット

薄底レーシングと厚底レーシングシューズでは、それぞれメリットとデメリットがあるため、上手に使い分けることが大切です。そのためにも特性を理解しておくようにしましょう。

ここからは、まず薄底レーシングシューズのメリットとデメリットを紹介します。

メリット①:スピードを出しやすい

薄底レーシングシューズは、軽量であり地面に力を伝えやすく、地面からの反発を受けやすいためスピードが出やすいです。陸上の短距離スパイクのソールが薄いのも同じ仕組みだからです。

シューズの場合はスパイクピンがないため、スピードを出すためには接地時にブレないようにしなければなりません。短距離選手でも冬期練習などで走る本数が増えるときに、負担が大きいスパイクではなく薄底レーシングシューズを履くことも多いです。

メリット②:トレーニング効果が高い

薄底レーシングシューズの場合、クッション性が低いため脚にかかる負荷は大きくなります。筋トレと同じですが、筋肉にかかる負荷が大きいほどトレーニングの効果は高くなります

つまり、同じ距離を同じスピードで走った場合、厚底よりも薄底シューズの方が筋肉を強くする効果は高いのです。

デメリット①:体にかかる負担が大きい

メリット②と表裏一体であるデメリットです。トレーニング効果は高いですが、体にかかる負担が大きいため、回復に時間がかかったり、ダメージが蓄積することで故障するリスクが高まったりします

そのため、薄底レーシングシューズを頻繁に使用することで、怪我をしやすくなるので注意しましょう。

厚底レーシングシューズのメリット・デメリット

現在では厚底レーシングシューズが主流になっていますが、改めてどのようなメリットとデメリットがあるのか押さえておくのがおすすめです。

メリット①:パフォーマンスを発揮しやすい

先程の説明の通り、厚底レーシングシューズは軽量性と反発性、クッション性を兼ね備えているので、パフォーマンスを高めやすいです

ただし、スピードの1点においては、短距離専用のスパイクと比較すると、地面からの反発を受けるレスポンスが遅くなります。そのため、必ず短距離走でパフォーマンスを発揮できるとは限りません。

メリット②:怪我をしにくくなる

厚底であるため薄底シューズよりも接地時に受けるダメージが小さくなります。今まで薄底シューズでスピードトレーニングをしたときよりも、体の負荷が小さくなるため怪我をしにくくなると考えられます

駅伝で活躍する大学の中には、「学生の怪我率が下がった」という話もよく耳にします。

デメリット①:脚の筋力の低下

薄底シューズと仕組みは同じで、クッション性が高い分、脚にかかる負荷が低くなるため厚底に頼り過ぎると脚の筋力の低下を招くと考えられています。

しかし、薄底シューズの方が怪我をするリスクが高いため、継続してトレーニングできることを考えると、メリットの方が大きいのかもしれません。

デメリット②:捻挫のリスクが高い

厚底シューズは地面から足までが離れているため、接地時にバランスを崩すと「ぐねる」可能性があります。安定感を高めるためにはアウトソールを広くする必要がありますが、必要以上に広くするとシューズが重くなったり、摩擦が大きくなってしまったりします。

あくまでも薄底シューズと比較すると捻挫のリスクが高いだけであるため、必ず捻挫するわけではありません。

練習の強度によってシューズは使い分ける

陸上にはさまざまなトレーニングの種類があり、得られる効果と強度が異なります。基本的に、走るスピードが速くなればなるほど強度が大きくなるため、トレーニングの効果は高くなります。しかし、同時に体に加わる負荷も大きくなるため怪我のリスクも大きくなります。

一般的にはスピードに合わせてシューズのランクを上げていく

アップシューズ→テンポアップシューズ→レーシングシューズという順番で、軽くなるためスピードは出しやすくなります。トレーニング内容でもジョグ→テンポ走→インターバル→レペティション→TT・レースというように、スピードが速くなっていき強度も高くなるため、それに合ったシューズを選ぶのが一般的です。

重要なのはレーシングシューズの使い方

一般的には短い距離のスピード練習では、最もスピードを出しやすい薄底レーシングシューズを使います。しかし、スピード練習は負荷が大きく、体への衝撃が最も大きい薄底レーシングシューズを使うと、怪我のリスクも高まります。

そこで、スピード練習に厚底シューズを使うと怪我のリスクは低くなると考えられます。

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反対に、テンポ走や距離走など強度が中程度のトレーニングで、薄底レーシングシューズを使うと、体に負荷をかけられるためトレーニング効果は高くなります

※体の状態に応じて薄底レーシングシューズを使うことがポイントです。痛みなど違和感があるときに薄底レーシングシューズを使うと状態が悪化してしまいます。

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このような使い方をすれば、怪我のリスクを抑えつつトレーニングを高められると思います。普段からトラックで練習する方の場合、スパイクでインターバルをやることもあると思いますが、そこを厚底レーシングシューズを使い、トラックでテンポ走をするときに長距離用のスパイクを履くという使い方もアリだとおもいます。

また、テンポ走など以外に長い距離のジョグをする場合でも、たまに薄底レーシングシューズを履くことでトレーニング効果を高められます。

おすすめのアップシューズ(個人的)ランキング

ここからは履いたことがあるシューズの中でおすすめのアップシューズを紹介します。

1位:HOKA ONE ONE クリフトン

ジョグをしているときの安心感はダントツです。かなり柔らかい厚底なので慣れるまでは違和感がありますが、慣れるとかなり走りやすいです。スピードを出すためには接地を磨く必要があるため、クリフトンでスピードを出せるようになればフォームは改善されているといえるでしょう。

2位:ナイキ ズームペガサス

ペガサスは最新版で38代目です。現在ではかなり厚底になっているため、ジョグでの安心感は高いでしょう。さらに、前足部にZoom Airユニットを搭載しているため、反発力が高く、フォアフットでのダッシュでもスピードに乗りやすいです。

3位:アディダス ウルトラブーストPB

300g近い重量感があるシューズであり、今はあまり使われていないアディダスのブーストフォームが多く使われています。耐久性が高くクッション性と反発力が優れているため、慣れるとあまり重さを感じずに走れます。

おすすめのテンポアップシューズ(個人的)ランキング

ここからは履いたことがあるシューズの中でおすすめのテンポアップシューズを紹介します。

1位:ブルックス ハイペリオンテンポ

文句なしの1足。走ってみると柔らかくて安心してランキングできますが、程良い重さ・厚さですが軽量であり、反発力が高いためスピードも出しやすいです。大袈裟かもしれませんが、「自分の思った通りに走れるシューズ」です。分かりやすく言えば、変なクセがなく快適に走れます。

2位:アディダス アディゼロジャパン

アディゼロジャパンは以前よりも大きく変化しましたが、比較的軽量で走りやすくバランスが良いシューズです。ハイペリオンテンポと同じように、トレーニング内容に関係なく走りやすいためおすすめです。

3位:アシックス ハイパースピード

コスパを求める方であれば、アシックスのハイパースピードがおすすめ。比較的ソールが硬く感じるため、体へのダメージは気になりますが、軽くて走りやすくスピードも出やすいです。

おすすめの薄底レーシングシューズ(個人的)ランキング

ここからは履いたことがあるシューズの中でおすすめの薄底レーシングシューズを紹介します。

1位:アシックス ソーティジャパンセーハ

安定感が高い薄底レーシングシューズです。薄底なので反発力が高いのですが、不思議とクッションのような柔らかさを感じます。かなりフラットのソールであり、長い距離でも走りやすいのが特徴です。

2位:アシックス ソーティマジックRP

おそらくアシックスの中で最もスピードが出るシューズです。かなり軽量であり、ミッドソールもかなり薄くなっているため、「足を守る」という役割はほとんど果たしていないように感じますが、その分スピードを発揮できます。

3位:アシックス ソーティジャパン

昔はソールがかなりツルツルでしたが、今はグリップのような形状が配置されたアウトソールになっています。そのため、上手く接地しないと滑りますが、フォームが良くなるとかなり走りやすいです。2000年代の日本代表選手(高橋尚子さんなど)が多く履いていた理由が分かります。

おすすめの厚底レーシングシューズ(個人的)ランキング

ここからは履いたことがあるシューズの中でおすすめの厚底レーシングシューズを紹介します。

1位:ナイキ アルファフライNEXT%

ロードで使えるスパイクのようなシューズです。慣れるまでは走るのが難しいですが、フィットすればかなりスピードが出ます。足の裏が痛くなりますが、走力が高くなり使いこなせばかなりのパフォーマンスを発揮できるシューズだと思います。

2位:ナイキ ヴェイパーフライNEXT%

厚底レーシングシューズの中でも安定したパフォーマンスを発揮できるシューズです。履きやすく自然とスピードを上げていけるため、短い距離からマラソンまで幅広い長さで使えるでしょう。

3位:アディダス アディオスプロ2

個人的に最もカーボンプレート(5本骨のエナジーロッド)の存在感を感じたシューズです。反発力が高く、最初は無理矢理もも上げをさせられているような感覚でした。その分、無理なく速いスピードで走れます。

3位:アシックス メタスピードスカイ

厚底レーシングシューズの中では、最も安心感があるシューズです。他のシューズと同様に反発力が高くて速く走れるのですが、接地するときのクッション性が心地良く、長い距離でも安心して走れる感覚です。